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「岡本和泉さんに聞く」記憶に残す地域探求とは??

まなぶ

はじめに

みなさんこんにちは!現在大学4年生の杉森泰樹です。

私は「#小田急線の旅」と称して、小田原から新宿までの全ての駅に行き、写真を撮りX(旧Twitter)に投稿しています。

撮影に行く回数が増えるごとに様々な気づきが得られる一方で、知らない駅や知らない街に行くたびに、その駅周辺のどこを見てどの情報をカメラに収めるのが良いのか? その街の魅力を切り取ることができているか? に悩んでいます。

そこで、今回は世田谷区を中心に地域活動を行っている「岡本和泉さん」にインタビューすることで、新しい視点を見つけたいと考えました。
岡本和泉さんは、成城100年祭などを通して、様々な仕掛けを実行しています。

どのような視点で地域を観察し、新しい情報に触れていくのかについて学んでいきたいと思います。

※「#小田急線の旅」についてはこちら↓

岡本和泉さんの活動

杉森
杉森

はじめまして!杉森泰樹です。本日はよろしくお願いします。

岡本和泉さん
岡本和泉さん

こちらこそよろしくお願いします。

杉森
杉森

さっそくですが、岡本さんは現在どのような活動を行なっているのですか??

岡本和泉さん
岡本和泉さん

私は、世田谷区を中心に、「映画散歩」や「古道めぐり」「成城建築探訪」「湧水めぐり」など、その地域に根付いた「歴史」や「文化」「地形」をめぐる地域密着ツアー過去・現在・未来のまちづくり提案をしたり、資産として存在する地域文化を存続・継承・広報するほか、都市農家と連携し地産地消を広げたり、他地域との交流などを行なっています。

最近では、世田谷区の郷土資料館や成城自治会とも連携し、成城の街を振り返り、これからを構築する「成城100年特別企画」にも関わっています。

杉森
杉森

なるほど!興味深い活動を多くやられているんですね。そういえば、先ほど小田急小田原線の成城学園前駅を降りたときに、成城100年祭に関する模型が展示されていたのですが、あの作品が成城100年特別企画の1つですか??

岡本和泉さん
岡本和泉さん

そうです!様々なインフラが整備され、商店街も発展し成城のまちができて一番華やかだったS30年頃を再現してみました。

写真:S30年頃のまちイメージ模型(約70年前)

杉森
杉森

かなり細かい部分まで再現されていますが、どのように作成されたのですか??

岡本和泉さん
岡本和泉さん

実は着工から半年かけて完成させた模型なんです。

当時のこどもたちが遊ぶ様子や2つの川に挟まれた台地と坂、そして大きな送電線と洋風和風の2種類の建築物など、当時のイメージが湧くような模型ができました。

杉森
杉森

しかし、この模型を作る際に、100年前ともなると資料や記録が残っていないようにも思うのですが、その部分はどのようにして再現したのですか??

岡本和泉さん
岡本和泉さん

写真などの記録から再現するのはなかなか難しく、とても苦労しました。

ただ成城には、東宝の撮影所があり、昔から多くの有名な映画が作成されていました。なので、成城が撮影場所となることも多く、映画を観ることで再現することもありました。

S30年頃のまちイメージ模型を作成することは、資料も記録も少ない中で再現する必要があり、何度も聞き込みや郷土資料館の方と打ち合わせをして完成させたそうです。

それでは、この成城のまちイメージ模型を作成していくにあたって、どのようなことに気づき、どのようにして地域を見ていくべきなのかを聞いていきたいと思います。

成城のまちイメージ模型を作って気づいたこと

杉森
杉森

先ほどは成城のまちイメージ模型について説明していただきましたが、そもそも成城とはどのような街なのですか??

岡本和泉さん
岡本和泉さん

今から約100年前の1925年(大正14)に総合学園をめざすために、新宿の牛込からこちらへ移転して、学校とともに形成されたまちなのです。教員、学生、父兄などが協力し合って雑木林や畑ばかりの土地を開墾し、住宅まで準備し、街路樹などの整備もしました。

住人の殆どが成城学園へ通っていましたし、父兄間の結束は固かったでしょうね。
イメージ模型で再現されている遊びや暮らし、まちの様子はそういった学園に集う人たちが中心になって築かれ、地域のみんなで子ども達を見守っていたという文化があったのです。

杉森
杉森

へえー。そうなんですね。だからこそ、この小田急線にも「成城学園前駅」という駅名が付けられているのですね!現在もその当時の文化の名残はあるのですか??

岡本和泉さん
岡本和泉さん

現在では、回覧板や自治会報誌(なんと!創刊1952年)の他にも、「今日も元気ですよ!」ということを示す安否確認標識(自治会員)を玄関前に掛けていますよ。町の人みんなで協力し合う、そんな成城ならではのコミュニティ文化が残っていますよ。

杉森
杉森

私の地元でも回覧板を回す文化は残っていますが、地方ならではの文化だと思い込んでいましたが、成城でも回覧板があったり、安否を確認する標識を掛けたりする習慣や文化が残っているのですね。人と人とのつながりを大切にしている町だと魅力が感じられました。

反対に、昔と変化した歴史や文化はありますか?

岡本和泉さん
岡本和泉さん

ありますよ。

まずは子どもが減少してしまっていることがあります。さらに、今の時代では、子どもと親の結びつきが非常に強くなっていて、近所の人と子どもが交わる機会が減ってしまったことだと思います。

昔は、子どもながらに近所のおばさんと挨拶したり、お話したり、遊んでもらったりしてましたが、今ではこちらから話そうとすると警戒されてしまって。大人と子どもが交わる機会が減ってしまったなと思っています。

杉森
杉森

私も地元では、小さい頃に近所の方に挨拶したり、お話を聞いたり、様々な関わりがあったと記憶しています。だからこそ、このような変化は少し寂しいようにも感じますね。

しかし、先ほど駅前で中学生たちがインタビューを行なっていましたが、こういった学校と地域のつながりがあるのも成城らしいですよね。(なんだか嬉しくなり、笑顔でインタビューに答えました!)

しかし、古い町並みが残る成城ですが、成城学園前駅は近代的な駅に見えました。この駅はどのようにして今の形になったのですか??

岡本和泉さん
岡本和泉さん

成城学園前駅が今の形になったのは、小田急線が高架型に変わる際、まちなみ景観が悪いと反対運動が起こり、成城学園前駅は地下に設置することになりました。
その時に駅ビルとして建設される施設がどういうものが良いのかと「地域住民」と「小田急電鉄」の対話のもと、施設の形状やみどり、駐車場に加え、どのようなお店を入れるのかなどもともに考えた結果、成城の景観を維持しつつ南北に通り抜けできる自由通路を設けることも含め、住民の意向と地域の歴史・文化・景観を守ることを重要視した駅となっているんですよ。

杉森
杉森

そんな歴史があったとは知らずに利用していました。

確かに、この駅の改札を抜けると、様々なお店の電飾とともに、左右には緑の綺麗な通りがあり、一目見て「成城だ!」とわかる趣深い駅だと思いました。地域住民の意思を加味した素敵な駅なんですね。

岡本さんは、成城という町は、回覧板や安全確認標識といった、昔ながらの地域コミュニティの文化が残っている一方で、少子化や大人と子どもが交わる接点が減少してしまっているという変わりゆく変化もあることに気づかれました。また、成城学園前駅が今の形になったのも、「地域住民」の意思を汲み取ったとのことで、まちづくりにおいても「人の気持ち・情」が重要なキーワードになってくると感じました。

このような「地域コミュニティの変化」や「地域住民の意思」は、今後起こりうる街の再開発において、非常に重要な要素になってくると思いました。この成城100年の歴史を振り返り、その街にはどんな文化があり、どんな景観があり、大切にしている住民のどのような意志があるのか。これを考えることが「地域を知る」上で大切なことなのだと考えさせられました。

初めて訪れる地域を知るために意識している岡本さんの「視点」とは??

杉森
杉森

岡本さんは、成城という地域の歴史や文化について今回多くのことを学ばれてきたと思いますが、過去には今までに行ったことのない地域でも活動をしてきたと思います。

その時に、はじめての地域を知るためにやっていることをお聞きしても良いでしょうか??

初めて訪れる地域を知るために意識していること
  • 「スケッチ」を描くこと
  • 面白いモノ・コト・ヒトを見つけたときに、すぐにメモを取ること
  • 疑問を抱くこと
  • 訪れた後に、Google mapで俯瞰してみること
  • 何回か訪れてみること

「スケッチ」を描くこと

杉森
杉森

どうして地域を見るときにスケッチを描くのですか??

岡本和泉さん
岡本和泉さん

写真を撮るのでも良いとは思いますが、やはり平面の写真を撮るだけだと、記録には残ってもなかなか記憶には残りにくい。だからこそ、しっかりと記憶するためにも局所の土地をスケッチして、立体感をもって振り返ることで「あんな場所があったな」とか「この場所面白かったな」とか、それを包む背景なども思い出せるようにしています。

杉森
杉森

なるほど。確かに写真を振り返るだけだとなかなかその場では気づけても後々忘れてしまうことも多いと思います。立体感をもって記憶することが大事なんですね!

面白い所を見つけたときに、すぐにメモを取ること

杉森
杉森

どのような目的と意味をもってメモを取っていますか??

岡本和泉さん
岡本和泉さん

スケッチしながら、面白い地形や建物があったらメモを取る。そうすることで、スケッチを見ながら思い出すことができる。より忘れられない記憶になりますし、地形の繋がり、場所の成り立ちが見えてくるのでより深掘りできます。

杉森
杉森

その地の気づいた記憶を忘れないための工夫としてメモを取っているんですね。確かに振り返るときにメモがあると記憶がはっきりと戻ってくる気がします。

疑問を抱くこと

杉森
杉森

どのようなことを意識して疑問を抱いていますか??

岡本和泉さん
岡本和泉さん

例えば「あの川の形少し変だな」とか「川の位置変だな」などを感じること。そうすることで、その川の形が昔と今では違ったとか、昔はよく氾濫していたなどの歴史を知ることができます。なので常に疑問を抱きながらよく観ることを意識しています。

杉森
杉森

川の形に疑問を抱いたことが無かったのですが、歴史をたどると川も変化していますよね。その変化に疑問を抱くことは重要な気がします。

訪れた後に、Google mapで俯瞰してみること

杉森
杉森

どうしてGoogle mapを見るんですか??

岡本和泉さん
岡本和泉さん

実際に訪れたときの視点と俯瞰してみたときでは、「この道はこことつながっていたのか」などの地形の把握に非常に役立ちます。そして、地形を見ることでどのようなまちづくりがなされているのかに気づくことができます。

杉森
杉森

その地に入って歩くだけでは空間的な地形の理解はなかなかできないですよね。その点、Google mapは俯瞰してみることができるので、より深い記憶に繋げることができそうな気がします。

何回か訪れてみること

杉森
杉森

岡本さんは何回か訪れることがあるんですか??

岡本和泉さん
岡本和泉さん

今までのことを行なった後に再度訪れてみると、当初とは違う視点で見れたりします。そこで気づく発見もあったり、面白さもあったり、何回か行くことで気づく、そのようにして初めての地域を知っていきます。

杉森
杉森

地形を理解し地域を知るためには、立体的な空間把握に加えて、再度訪れることであらゆる気づきに触れることが重要になってくるということですね。

私自身小田急線の旅を行なっている中で、知らない街や初めての駅にも当然行くことになります。初めてなりに気づくその街の「雰囲気」や「人並み」「建物」がありますが、岡本さんの「スケッチする」ことや「google mapで俯瞰する」こと、メモや疑問を残しておくことで、「記録ではなく記憶に残る」地域探求ができていることを知ることができました。そして、岡本さんならではの視点や勘を築き上げることができたと思います。この「記憶に残る取材」を自分なりの視点をもって活動していければ良いなと感じました。

今後の岡本さんの展望(やりたいこと)は??

杉森
杉森

それでは、この成城に関する活動を聞いてきましたが、今後やりたいこととしての展望をお聞きしてもよろしいでしょうか??

岡本和泉さん
岡本和泉さん

はい!今回ご縁があって成城約70年前のまちのイメージ模型を制作させていただきました。成城という地域の100年前の歴史を見ていきましたが、その中で先人が重要にしてきた歴史や文化を現代に引き継ぎ、今をもっと知ることで、今後は「100年後の成城MAP」を制作したいと思っています。

杉森
杉森

100年後の成城MAPですか!めちゃくちゃ気になりますね!ですが、完全な創造になってしまいそうですが、仮に制作されるということになれば、どのようにして制作していくのですか??

岡本和泉さん
岡本和泉さん

それは、しっかりと過去を見て過去を知ること。そして今求められていることや逆に足りていない部分を想像することです。結局、今の部分しか見れていないと過去の大切にしている文化が失われてしまうかもしれないし、住民の意見を聞けないと人がいなくなる。だからこそ、未来のビジョンをもって、過去と今をしっかりと見ること。そして想像することで成城100年後のMAPを作ってみたいと思っています。

杉森
杉森

単に想像するだけでなく、過去と今をしっかりと見て、住民の意見を聞きながら「想像する」ことで未来のビジョンを描き出して、未来のMAPを作り出すんですね。本当に勉強になります。

成城の模型を作成し、歴史や文化を知っていくことで、100年後の成城MAPを作りたい。この岡本さんのまなざしにこそ、オリジナリティがあり、視点であると感じました。先人の大切にしてきたことと今の住民が思うこと。この意思から想像する100年後の成城MAP。どのようなものが出来上がるのか考えただけでも楽しみになってしまいます。ぜひ実現してほしいですね!

まとめ

今回、岡本さんにインタビューをしてきて感じたこと。それは『歴史を紡いできた先人たちの「情」を知り、現在の住民の「思い」を聞き、未来へのビジョンを明確にする』という岡本さんだからこその視点を持っていることです。インタビューをしているときにも感じた岡本さんの「温かみ」と「エネルギー」からも、人と人とのつながりを大切にし、地域コミュニティの軽薄化を止めたいという強い意志を感じられました。

私は、小田急線の旅を筆頭に、地域を知り発信する活動を行なっていましたが、まだまだ自分の視点が足りていないと再認識できたのとともに、新たな地域への貢献の仕方や知る方法を発見できたと思います。今回の対談は、地域を知るためにも発信するためにも非常に良い経験となりました。

引き続き、私としては小田急線の旅を刊行していきますので、この対談を機に「少し投稿のニュアンスが変わったかも」と感じられるかもしれません。この経験を活かし、新宿までの残り区間を、ロマンスカーのごとく走り抜けたい。そう考えています。

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