やってみる

地図作ってたら「おじいさまかっけえ!」ってなった話?

やってみる

こんにちは、小室和也です。

みなさん、日本各地で行われている手書き地図作成ワークショップってご存知ですか?

手書き地図作成ワークショップとは、地元の魅力を再発見するために地域に眠っているうわさ話やエピソードを手書きの地図にて可視化していくというものです。2013年に結成した手書き地図推進委員会によって、北海道や山形県、神奈川県、長野県、岡山県などで開催されています。

今回私は伊勢原市と手書き地図推進委員会により開催された、神奈川県伊勢原市比々多地区で行われる地図作成ワークショップに参加しました。グループに分かれ、グループワーク、フィールドワークを経て、それぞれが別々のテーマを持った地図を作成しました。

実際にワークショップに参加し地図を書いていくなかで一番に思ったのは、町のおじい様たちすご!ってなったことです。

どういうこと?と思われる方しかいないと思いますが、おじい様たちはすごいんです(笑)。詳しくは以下に綴っていきます(笑)。

修羅場のはじまり

ある日、先生から「手書き地図作成ワークショップ」を紹介されました。地域振興のためにとても勉強になる活動だということと同時に「申込期限は今日中」と言われました。

そんな突然・・・

そう思いましたが、名指し&考える暇なし。気づいたら私は参加することを決めていました。

深く考えずに決めたこともあり、当日はとても不安でした。

小室
小室

比々多地区ってまずどこ?
手書き地図推進委員会て何者?
どんな人がいるのかな…

なんてことばかり思っていました。

重い足をなんとか会場に進めると、その不安は一発で的中します。グループワークが行われるミーティングルームに行くとそこには

ソース画像を表示
※イメージ図

おじい様方の大集会が開催されていました。
ワークショップ開始時間15分前とは思えないほどの熱気と声量。





私は圧倒されてしまいました。

20人前後のおじい様方が4つのグループに分かれてそれぞれが絶え間なく話し続けています。

小室
小室

こんなはずでは…
この先どうなるんだろう…

私はおじい様とのコミュ力が高いわけでも、伊勢原市比々多地区に詳しいわけでもありません。

「こちらに座っていてください」

市役所の担当の方にそう言われ、4つのグループの一番後ろ、審査員席のような席に着きました。

小室
小室

学生だから、グループワークに参加しないのかな?

なんて思いました。期待していいのか悪いのか、そんな状況です。

ワークショップ開始

「手書き地図作成推進委員会の大内です。今日はよろしくお願いします」

と手書き地図推進委員会のメンバーの一人である大内征さんが声をかけてくださいました。

大内さんです。画像はWebサイトからお借りしました
『宮城県仙台市出身。マーケティング、メディア、コンテンツ領域を経て、「アウトドアとローカル」をテーマに都市生活者と自然・地域社会を繋げる活動を行っている。』(手書き地図推進委員会https://tegakimap.tumblr.com/aboutus

続けて「はじめに概要をお伝えした後、どこかのグループに入ってもらいますのでこちらに座っていてください。」

https://mino-link.com/wp-content/uploads/2016/04/pose_namida_koraeru_man.jpg

…わかってました。
そうとなったら、頑張るしかありません。お先真っ暗ですが、私は修羅場に飛び込む覚悟を決めました。 私は不安を押し込み、おじいさま方3人が待つグループに向かいました。

圧倒的地元トーク

小室
小室

「こんにちは!よろしくお願いします!」

重要なのは第1印象です。 私なりにいつもより明るく、笑顔で言ってみると

「ああどうも、よろしく~」

同じく笑顔で返事していただきました。それだけで私はなんだか落ち着きました(笑)。その時は、うまくやっていけるかも?と思いました。

しかし、ほどなくして…


「隣の○○さんは元気してるか?」
「あの道通るには○○さんに声かけなきゃらんのよ」
「ここのお寺の住職はいまその人じゃないよ」

圧倒的な地元トークが繰り広げられはじめたのです。

全く知らない人達による全く知らない人と場所の会話。私に付け入るスキはありませんでした。

地域のうわさや思い出話を話し合うワークが始まっても同様です。おじい様方の地域の歴史トークがとめどなく出てきます。

「この寺の仏像は明治時代の廃仏毀釈を乗り越え…」
「なぜか伊勢原市に戦国武将の北条氏の位牌があるんだよ」
「神戸って書いてゴウドって読む地名があるんだけど何か兵庫と関係があるのかね」

などなど。

大先輩方、詳しすぎます。(笑)

私はなにも話せずに何かいいネタこないかな~なんて思ってました。

リスペクト

ただ、おじい様方のマシンガントークを聞き続けているうちに私は思いました。

ソース画像を表示

「あれ?おじい様方、すごくない?」

まさかの展開です。(勝手に)

というのも、とにかく、歴史に関する知識や、それをわかりやすくかつ面白く説明するコミュニケーション力が半端じゃないのです。

進行役として手書き地図推進委員会の方が一人いてくれたのですがその人でさえ話をまとめる前に次の話が出ます。

私の勝手なイメージですが、町のおじい様方は頑固で若者に対して

「最近の若者は…」

なんて言って嫌っているように思っていました。

それも間違いです。ワークの終盤には、私の住んでいる地域に関する情報を教えてくれたりたくさんボケをいってくれたり、話と笑顔の絶えない時間になりました。

それはフィールドワークでも同様です。比々多地区のお寺に実際に行き、住職の方からお話を聞くなどしました。

おじい様方は歩くほどに必ず豆知識や思い出話が挙がります。その時すでに私はおじい様方をリスペクトし、このワークショップのヒーローだと思っていました。(笑)

私もヒーローに

おじい様方頼りに進んだワークショップですが、ここで私は

小室
小室

「手ぶらで帰るわけにはいかない」

と思いました。

ただ、知識やコミュニケーション能力で勝ることは出来ない、何かいい方法はないか…。
と考えていると、思わぬタイミングでその時はやってきます。

それは最も重要な手書き地図作成作業です。フィールドワーク等で得たものをイラストや様々な色のペンを使って書き上げるのですが、お寺や特産品のイラストを描いているうちにおじい様方から

「うまいねえ!」

「私にはそんなイラストはかけないよ」

など声をかけて頂いたと同時に、

「これもかいてよ!」

など立て続けにイラストやレイアウトの作業を任されることになりました。(イラストはそれほど得意ではないのですが…)

この時に私は「出番が来たな」と勝手に思ってしまいました。(笑)

完成した手書き地図です。大先輩方の知識と自分達学生のデザインやイラストが入り混じった傑作になったと思います。

まさかではありましたが、なんとかデザインという面で爪痕を残すことができました。(笑)

おわりに

手書き地図作成ワークショップに参加することで、まったく興味のなかった地域に愛着がわいただけではなく、先輩方とお話したり、手書き地図を作る意味について学んだことでこれまでの考え方や価値観が変わったような気がします。おじい様方はすごいということだとか。(笑)

地元の人でも知らないような情報が次々と挙がるので、私の地元でも是非やってみたいと感じました。地元にあるお寺や地名が意外なところと関係していたり、伝説が眠っているかもしれませんね。そして、そんなことがあるかもしれないと思って日常生活を送るだけでも、一つ楽しみが増えたような感覚になれます。

地域のイベントやワークショップと縁のない人は多いかもしれません。しかし、そういったものこそ一度挑戦してみると、何か新しい発見をする場所になるかもしれませんね。

シェアお願いします
この記事の執筆者
よろしければSNSのフォローお願いします