伊勢原市大山にて、スイーツ店「まんまるや」がオープンして祝1周年を迎えました。店舗ではここ伊勢原大山でしか味わえないスイーツなのですが…
皆さんはその 場所 をご存じでしょうか?
実は現在のバス通りとは別の道(旧道)にあり、店舗周辺は住宅となっています。そのため、「ここにあるなんて知らなかった」とお店に来られた人が話をされていたほど知る人ぞ知るスイーツ店なのです。
そこで、初来店から1年経過した筆者(ファン)が「まんまるや」に魅力に迫ります。来店興味や商品購入のきっかけにしていただけたら嬉しいです。伺った商品エピソードや商品をお作りなさる姿、筆者の来店記録等あります。是非最後までお楽しみください!
店名:まんまるや
住所:神奈川県伊勢原市大山362
営業日:火、水、木、土、日
定休日:月、金
★祭日(例:大山の季節のイベント)は定休日営業可能性あり
下からのアクセス(最寄りバス停から徒歩2分)
伊勢原駅北口(バス)の大山ケーブル行から「社務局入口」で下車し、手前の橋を渡りきった後もそのまままっすぐ進み左折、「こまや支店」の2軒先
上からのアクセス(最寄りバス停から徒歩3分)
「あたご滝」のバス停付近を左折する形で橋を渡り右折、まっすぐ下り、ガードレール切れたら3軒先
どんな商品があるのか
大山名水や伊勢原産の卵等を活かしたスイーツの数々。商品のラインナップは大きく分けて、どら焼き、わらび餅、プリン、各種飲み物があります。期間によって限定メニューや裏メニューがある場合もあるとのこと。
値段は少々お高めの設定だと思われるかもしれませんが、その理由のみで購入を控える判断はもったいない!私は商品のことを知ったり食べたりして、むしろ値段以上では…?と思いました。
店主とどら焼き
商品のラインナップは様々ありましたが、全て店主お一人でお作りになっています。
仕込みは午前5時起床してすぐに取り掛かり、家族のいる自宅(茅ヶ崎市)から離れたこの店舗でお一人で始まるという日々を送られていました。
「まんまるや」開店前は別会社の社員(※現在退職)であり、お菓子作りは趣味であったものの、店舗を持って販売することは夢にも思わなかっそうです。では、なぜその道に進み、伊勢原大山で開店されたのでしょうか?
趣味となったどら焼き作りは本格的
まずは「まんまるや」開店前、店主が別会社の社員だった時のどら焼き作りについてです。
店主のどら焼き作りのきっかけはというと…取り寄せたパンケーキ専用の粉に「どら焼き」の作り方が書かれていたからだと言います。まさに、お菓子作りの過程での発見。どら焼きは「買うもの」から「自分で作れるもの」だと知った店主は毎週土日の夜や退勤後も朝まで時間を使うこともある程の熱中ぶりだったそうです。
粉を何種類か仕入れ、何度も手焼きで何個も作っていくうちに、小麦粉によって軽く仕上がる、ちょっともっちり仕上がる、重い感じで仕上がる、しっとり仕上がるっていうのと、粉の種類によっても色々あることが分かっていって。粉と粉を組み合わせながら、この配合だとどうなのかなと探りながら作っていましたね。
どら焼きの「皮」づくりに没頭した店主。どら焼きにはやはり「餡」が必要ということで、「餡」も自分で作ろうと思ったそうです。まず小豆の素材選びを思い付きますが、店主はそれだけではなく、餡の美味しさを左右すると言われている「水」にもこだわられていました。
秦野は水汲みできる所が沢山あります。その中の秦野公民館に蛇口から汲める「まいまいの泉」で汲みに行き、それを自宅(茅ヶ崎)に持って帰り、小豆を炊くってことをしていました。
秦野市は「全国名水百選の地」として知られています。「まいまいの泉」もその一つであり、公共の水場。とはいえ、ご自宅から気軽に通えるほどの距離とは言い切れません。
店主こだわりの「こしあん」どら焼きの誕生と秘話
どら焼きと言えば「粒あん」を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか?店主もそのように話されていました。一方、餡作りの過程で「こしあん」を作る際に廃棄する皮が気になっていたそうです。そこで、店主は餡について調べた結果、こしあんペーストだけれど、小豆の皮も含む「うまみ餡」を知ったといいます。
うまみ餡と言っても、作り方などが調べても出てこなかったので、(当時は)考えて作ったと思います。なので、業者が機械で作るうまみ餡とは違う可能性があります。
それと奥さんは元々あんこもどら焼きもそれほど好きではない人で、市販のものは好んで食べないんです。けれど、小豆の皮が最後に口の中に残らず、どら焼きの皮と一緒に口から無くなるその「こしあん」を気に入ってくれました。
小豆の皮に含まれるポリフェノールや食物繊維等の栄養価の高いこしあんが誕生。「こしあん=皮を剥いて捨てるしかない=粒あんの方が栄養価が高い」ではないのです。
そんなある時、店主の奥様のお父様が癌を患い、3か月の余命宣告を受けたと言います。入院や手術をせずに家に過ごすことになり、体調が優れている時にはその「どら焼き」を渡していたそうです。
義理の父が病気になってから、小豆の皮も餡(うまみ餡)に入れ始めたかなと思います。栄養価も高い方ですし、サクッと軽く食べやすいかなと思ってね。そしたら、物凄く喜んで食べてくれた。その後も「また食べたい、作ってきてくれよ」って言って。
だけど、作って持っていけない時期もあって、祖母がきっと分かんないと思って、普通のどら焼きを買って持っていったら「これじゃない!」って怒られたみたいで(笑) それでまた作って持っていくようになりました。祖父は3か月の余命宣告でしたが、1年頑張ってくれました。
それが今や「まんまるや」看板商品の「特製どら焼き(こしあん)」に関する秘話です!
店舗販売への道に進むきっかけ
さて、気になるお菓子作りが「趣味」からの「店舗販売」を志した背景についてです。それは「趣味」で作っていたどら焼きの行方にありました。
うちの奥さんはネイリストなので、その人たちがいっぱい集まるところに行くとなって、どら焼きをその日は作っていたから20個ぐらい持って行かせたりして。そしたら「え、これ売ってるものじゃないの?」という声を頂くようになったんです。
「趣味で作っているからね。良かったら、また行く時に渡しますよ」と言って、あっちもこっちでも持って行ったりしてました。来れないけれど欲しいという人には送料はお願いをしてっという感じで送っていましたが、「やっぱり売ってくれないかな」という話はありましたね。なので、その頃から(店舗販売について)頭の片隅にはあったと思います。
以前やっていた仕事の方も色々あって、 身体に負担がかかっていたから、奥さんが「こういう作る仕事やってもいんじゃない?」って言ってくれたんです。
奥様のコメント
― イベント等でお渡した方の反応について
旦那さんでもどら焼きを好んで食べないんだけれど「このどら焼きは美味しい」とか、お子さんも普段全然食べないのに、そのどら焼きは「食べたい!」とか言ってくださって。どら焼きを通じて「初めてあんこを食べれた!」とか「体調が優れない時にでも食べれるし、むしろ食べたい!」とか話してくれる方もいらっしゃって。「神どら」なんて褒めてくださったり、SNSでも沢山の方からコメントいただいたので、本当に嬉しかったです!
― ご主人(店主)のどら焼きについて
私自身もちゃんとした所のどら焼きとかは中のあんこがしっかり甘いかったり、生地もねっとりしている感じがして、あまり得意ではなくて。でも主人が作るものは自分の中にある和菓子感を無くさせてくれるというか。朝ごはんとか食べていなかったら、それを持って車の中で食べることもありましたね。どら焼きは買ってまで食べたいとは思っていなかったのですが、より多くの方に食べてほしいなと。私も店舗の方へレジ等のお手伝いしに行っています。
家族、知人、友人、ご近所等にあちこち「よかったら食べてください」と渡していました。感想も元にして味等の細かい調整をし、完成するまで10年ほど試行錯誤したと思います。
では店舗営業の実現を支えたのは…
自身の店舗で販売することを志した店主。しかし、元会社員で初めての自営業。そのため、すぐに実現することは難しく、生活費諸々お金を貯めるために不動産会社へアルバイトをされていると言います。
※店舗を持った現在もアルバイトは現在進行形
ある時、社長から「社員になりませんか?」と話をするタイミングがあって、「実はやりたいことがあるんです。だから社員にはなれないんです」とどら焼きを渡して伝えたら、「じゃ、お金を借りに行こうか」って言って。「え…?」と予期していなかったのでびっくりでした。社長は忙しい人だけれど、面倒見がいい人で。社長が動いてくれたことでお金を借りることができるかもという話になりました。
その時にここの物件(現在のまんまるやの店舗)があったと思います。どういう物件かを見に行った時は、あんまりにも物が多かったので「本当にここを借りるのか」って話になったんだけれど、「お金借りることができたら買います」と決めたんです。
※画像は一部分です。
では、大変だと分かっていても、ここがいいと思った決め手はあったのでしょうか?
その店舗はもともと豆腐屋さんだったんです。どら焼きを作るのには水が必要不可欠で、お豆腐屋さんだった時には名水認定されていたこともあって、この場所を活かしていきたいなと。
ただ、今考えても5か月くらいで自分たちも含めて5、6人で片づけたとは思えないぐらいの量でした。写真に写るカフェスペースだと、片付けと補修は自分たちでやりました。知り合いが手伝に来てくれていなかったら、もっと時間がかかっていたと思います。
全て撤去したわけではなく、写真に写るテーブル等もそのまま活用させてもらっています。
まんまるや開店後の葛藤
2024年に開店1周年を迎え、徐々に来店する人が増えつつあると言います。とはいえ、バス通りからは見れない、むしろバスが通り過ぎてしまう道(旧道)に店舗があるから通りすぎてしまう等があり、お客さんがゼロの時もあるそうです。
お客さん相手の商売を自分で始めたは初めてだから、開店当初は特にこのお店にお客さんが来るか来ないか分からないまま座っていて1日来ない、誰とも喋らないっていうのが、精神的に来ることがありました。
どら焼き作りに関しては普段は朝の5時頃に起きだしてすぐやっていて、ここ(現店舗)は自宅兼用の物件なので、定休日の前夜以外は1人で寝泊まりしています。
定休日(月・金)もアルバイトを続けているので、休みがないと思われるかもしれませんが、むしろ忙しい方が嬉しいです。ちゃんと稼げていないと、家族に苦労かけてしまうことになるので一番堪えますね。
と、いつどんな時に伺ってもニコニコ笑顔な店主からは想像できない本音がありました。それでも、
綺麗ごとに聞こえてしまうかもしれないけれど、「うちのどら焼きは美味しいから食べたい」という人に喜んでもらえるっていうのがあるからやっていける、やっていきたいんです。開店前からも応援してくれた方や何度も通ってくださる方、最近来てくれた方、うちを知ってくれた方のおかげで今があると思っています。
店主は人との出会いと繋がりを大切にされているのです。
お客様との関係性が原動力
お客様のエピソードをお聞きすると、嬉そうな笑みで話してくださいました。
2024年の抱負とメッセージ
2024年の抱負について教えてください!
当然だけれど、コンスタントに物が売れてくれないと困っちゃいます。けれど、ここ最近だと、動画を撮ってアップしてSNSで広めてくださったり、伊勢原にある飲食店のお店の方が来店してくださって、お互い頑張りましょう!と背中を押してくれることもありました。市内の学生さんともゼミ活動を通じて関わっていただき、市内最大のお祭り「いせはら道灌まつり」にうちの商品を販売してくれたんです。市内外の方も購入してくださったのではないかと思うとやっぱり嬉しいですね。
そういう色々な積み重ねで、少しずつもっと知らないお客さんが知ってくれて、来てくれたり、美味しいと言ってくれたり、そういう年にしたい。知ってもらうが増える年にしたいですね。
今後、大山への観光やまんまるやの来店目的に来られる方へメッセージお願いします!
大山は登りやすい山とは言っても、山を登るわけですので、体力使うと思います。そんな時、甘味摂取や水分補給として食べてもらってもいいですし、数日ほど保存がきくので土産としてご購入いただける品揃えとなっています。「まんまるや」でいつでもお待ちしております。
どら焼きには薄いビニールも一緒に入っているので、小さなお子さんとかに「はいどうぞ」って渡しても汚さないで食べることができて、移動中も食べやすいと思います。なので、大山に登りに行く前にちょっとここで買って、山の上の方で食べてくれるっということになったら嬉しいですね。どら焼き好きでない方も試しに一度食べてみようかなという感覚で気軽にお越しになってください!
最後に店主から一言お願いします!
本当に1年あっという間に感じるほどでしたが、初めての自分のお店とはいえ、やることの多さ、人が来ない時期の厳しさ、継続する難しさとモチベーションを保つことの難しさを痛感する1年でした。しかし、皆さんの応援と喜んで貰えた笑顔に何とか踏ん張る力を貰っています。今後とも、「まんまるや」をどうぞよろしくお願いします。
最後に筆者が「まんまるや」のファンになった理由
筆者は「まんまるや」に惹かれた発端は「ロゴマーク」でした。商品の袋にはロゴマークのシールが貼られているので、切り取ってコレクションにしています。そのことを店主に話すと、今は無き限定商品のものを揃えてくださいました。
そして、来店し実食。どら焼き好きではないと思っていた自分が「どら焼きの皮単体でも美味しい」と衝撃を受けたのです。甘ったるさを感じず、厚みがある生地なのにシュワッと嚙む力をほとんどいりません。筆者は開店当初からある特製どら焼き(こしあん)が好きで、来店するたび購入しています。生地と滑らかなこしあんが共に無くなっていくくちどけを是非皆さんにも体感してほしいです。
いきなり伺うことの方が多かったのですが、いつも歓迎してくださいます。
ファンの一人としてこれからも「まんまるや」を応援し、皆さんのご来店をお待ちしております。
オンラインショップもあります。2024年正月にはお年賀にとしてご購入なされた方がいらっしゃったそうです。自分へのご褒美、大切な人への贈り物、催し物等にいかがでしょうか。